70年代はミュージシャンの映像を見る機会がほとんどありませんでしたが、80年代のMTVから90年代のDVD、そして2000年代のYouTubeの登場で動画を目にする機会が飛躍的に増えてきました。番外編としてYouTubeで公開されている動画の中から20本を紹介します。
YouTubeから厳選した70年代洋楽ロックの動画20本
70年代の映像なので画質がどれも今ひとつなのですが、貴重な映像をお楽しみください。
ザ・ビートルズ「ドント・レット・ミー・ダウン」
有名なルーフトップ・コンサートの映像ですね。ポール・マッカートニーのヘフナー・バイオリン、ジョン・レノンのエピフォン・カジノ、ジョージ・ハリスンのオールドローズ・テレキャスター、リンゴ・スターのラディックのドラムセット、屋上でプレイする4人の個性的なファッション。どれをとっても格好良くて印象に残ります。
ライブが行われたのは69年ですが、アルバム『レット・イット・ビー』の発売が70年なので1本目に紹介させていただきました。寒さのせいかジョン・レノンの鼻が赤くなってますが、さすがのボーカルです。
フリー「オール・ライト・ナウ」
ラフというか格好など気にしてないというか。ポール・コゾフのシンプルだけどキレのいいギター、ポール・ロジャースの渋いボーカル。これでいいのだ、というシンプルなドラムセットが必要十分なリズムを刻みます。ベースはサビに入るまで暇なんですね。当時メンバー全員が二十歳前後という若さでこの貫禄です。
レッド・ツェッペリン「ブラック・ドッグ」
ド派手な衣装でレスポールを低く構えたジミー・ペイジと女物のブラウスを羽織ったロバート・プラントのカッコ良さ。レッド・ツェッペリン以外どんなバンドにこんな曲ができるか、という「ブラック・ドッグ」です。昔この曲と「ロックンロール」のギターをコピーしようとしたら、ドラムとリズムがずれてどちらも挫折した経験があります。
ザ・ローリング・ストーンズ「ブラウン・シュガー」
72年テキサスでのライブ。ミック・ジャガーに限らず売れてるロックバンドのボーカルは個性的でステージを支配する力があります。いつも下を向いて黙々とリードギターを弾く名手ミック・テイラーと、ミックに呼応するキース・リチャーズが対照的です。
T.レックス「20th Century Boy」
イントロのギターで観衆を虜にするのはロックバンドのギタリストにとって快感以外の何ものでもないでしょう。ハードなギターの音と少し中性っぽい声が混じり合って独特の雰囲気を持った曲です。グラムロックのスターだったマーク・ボランも若くして亡くなってしまいました。
ザ・フー「ピンボールの魔術師」
ロックオペラ『トミー』の収録曲で、同名映画もロジャー・ダルトリー主演で75年に公開されて話題になりました。ピート・タウンゼントのカッコいいギターが高揚感のあるこの曲を盛り上げます。キース・ムーンは相変わらず叩きまくるドラムで落ち着きがないというか、心底ライブを楽しんでいる感じです。
イエス「ラウンドアバウト」
スティーヴ・ハウ先生のギター、繊細かつハードな音色が素晴らしいです。昔はこのギターの見た目が好きではありませんでしたが、とにかく上手い人で見た目がぱっとしてなかろうがもう関係ありません。アルバム『こわれもの』に収録されたこの曲を名手揃いのイエスがライブで圧巻の演奏。
デヴィッド・ボウイ「スターマン」
少し丸い感じのする12弦ギターの音が気持ちいいです。中性的な容貌で聴衆を虜にする妖艶なスター、デヴィッド・ボウイの「スターマン」はサビのメロディーが素敵ですね。相棒ミック・ロンソンのリードギターも耳に残ります。この人はデビューからずっと変化を恐れず表現する人でした。
クイーン「ライアー」
高校のときにラジオから流れてきた「ライアー」を聞いて、おお、カッコいい!と思ったのがクイーンとの最初の出会いです。ブライアン・メイのオリジナルギター、レッド・スペシャルから放たれる音が気持ち良く耳に飛び込んできたのを今でも思い出しますが、クイーンらしく凝った作りのロックな曲です。
イーグルス「ホテル・カリフォルニア」
哀愁漂うイーグルスの大ヒット曲「ホテル・カリフォルニア」。ドン・ヘンリーの絶妙にハスキーなボーカルが最高です。リードギターはジョー・ウォルシュ、ドン・フェルダーはギブソンSGのダブルネック、グレン・フライは12弦のアコースティックギター。ステージのバックにはアルバムと同じホテルのシルエットとネオンサインが。
エアロスミス「バック・イン・ザ・サドル」
初めて聴いたときは、なんてカッコいい曲なんだと思いました。リフが印象的でギターのジョー・ペリーもカッコよかったです。見た目も声も個性溢れるボーカルのスティーヴン・タイラーの娘、リヴ・タイラーが女優としてデビューしたのには驚きましたが、映画『アルマゲドン』の主題歌を歌うという形で親子共演を果たしましたね。
ロッド・スチュワート「アイム・セクシー」
当時は一部でディスコ調という批判があったものの、文句なしのヒット曲。ロッド・スチュワートのセクシーな衣装は改めて見ると若干引いてしまいますが、ボーカリストとしての実力は折り紙付きです。ドラムのカーマイン・アピスのスティックの回し方は余裕綽々で世界一カッコいいと思います。
キッス「ラヴィン・ユー・ベイビー」
楽しませることに徹したステージが潔いキッスのヒット曲。「アイム・セクシー」同様ディスコ調とか言われてましたがジーン・シモンズのベースがカッコよくて、これはこれでOKだと思ってました。ドラムのピーター・クリスが歌ったバラード「ベス」も良かったし、元々幅広い音楽性があるバンドだと思います。
ピーター・フランプトン「ショー・ミー・ザ・ウェイ」
アメリカの音楽バラエティ番組「ミッドナイト・スペシャル」でのライブ。ピーター・フランプトンが弾いているのはジャケット写真のレスポールではなくてストラトキャスターですが、ちゃんとトーキング・モジュレーターを使ってます。心地良いイントロからサビのメロディー、間奏のギターまでどこを聴いても元気の出る曲です。
フリートウッド・マック「ドリームス」
ハスキーボイスの妖精スティーヴィー・ニックスの気怠い感じが、フリートウッド・マックのトレードマークのような感じがしてました。「ドリームス」はタイトル通り浮遊感のある曲で、リンジー・バッキンガムがピックを使わずに弾くギターやクリスティン・マクヴィーのコーラスが雰囲気満点です。
ハート「バラクーダ」
イントロの独特なギターの音が印象的なハート初のヒット曲。お姉ちゃんアン・ウィルソンの強力なボーカルと、妹ナンシー・ウィルソンがオベーションのギターを弾く姿が格好良くて痺れます。ハートは80年代に入ってアルバム『ハート』で大ブレイクを果たしますが、バンドの二枚看板はこの頃から強力です。
TOTO「ホールド・ザ・ライン」
腕利きスタジオミュージシャンが集まって結成されたバンド、TOTOがデビューアルバムからヒットを飛ばします。ジェフ・ポーカロのドラムとデヴィッド・ペイチのピアノ、スティーヴ・ルカサーのギターのカッコ良さ。イントロを聴いただけで好きになってしまいました。彼らは4枚目のアルバムでグラミー賞を受賞しましたが、この曲が収録されたファーストのほうが今でも好きです。
ジャーニー「ホイール・イン・ザ・スカイ」
17歳でサンタナに参加したという早熟なギタリスト、ニール・ショーンの強烈なアフロヘアーに目を奪われてしまいますが、スティーヴ・ペリーが歌い出すとその声に引きつけられてしましまいます。シンプルだけど癖のある独特なリフが耳に残るジャーニーのヒット曲。彼らは80年代に入ってヒットを連発して大ブレイクします。
スティクス「ベイブ」
美しいエレクトリック・ピアノ(フェンダー・ローズか?)のイントロとデニス・デ・ヤングのボーカルが懐かしい名バラード。この曲が収録されたアルバム『コーナーストーン』は名曲揃いの名盤でした。ベビーフェイスの男前、トミー・ショウはリードギターを弾いています。コーラスも欧米のロックバンドらしく綺麗です。
ポリス「ロクサーヌ」
スリーピースのバンドらしくシンプルで研ぎ澄まされた音がカッコ良くて、これ以上何もいらないという感じですね。“なにも足さない。なにも引かない。“というウィスキーのキャッチコピーを思い出しました。♪Roxanne … とスティングが枯れた声で歌い出せば、あっという間にポリスの世界に引き込まれます。
ロックに惹かれる理由とは
ビデオを紹介するにあたって何回も“カッコいい”という表現を使いましたが、この言葉こそがロックを表しているんじゃないでしょうか。当時多くの若者がロックに惹かれたのは単純にカッコ良かったからで、ハードなギターの音や高音のシャウト、癖になりそうなリフに心を奪われるのは一種の通過儀礼のようなものだと思います。
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